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次のグローバル・バブルが始まった! −国際マネーはこう動く−

次のグローバル・バブルが始まった!

次のグローバル・バブルが始まった!

著者の山崎養世氏は、やはりただものではないと思う。若くしてゴールドマン・サックスの本社パートナーにまで上り詰めるだけの才覚とはこうしたものなのか、と納得する著書だ。高名な経済学者が「世界恐慌の再来」とまで言ったサブプライム問題を的確に分析し、「そのようなことにはならない」と主張。さらに、昨今危惧される石油ショックもスタグフレーションも起こらないとする結論には、経済動向を的確に見極めることによって利益を上げる投資銀行家の、シビアなリアリズムを垣間見させてくれる。
かつての日本の高度成長は、原材料を輸入して高品質な工業製品を輸出する加工貿易と、それによって獲得した富の国内投資によってなしとげたが、現在の中国の発展モデルはそれとは根本的に異なる。外国(主に米国)企業に安い土地と安い労働力と安い税制を提供して工場を誘致し、外国企業を儲けさせてやる代わりに、人民の収入を保障し、外貨を獲得し、そして生産技術や資本主義の組織マネジメントなどを習得する。それが大規模に行われた結果、中国国内への投資が拡大して大きな発展が促されたというもの。(今となっては良く知られているように)
今、中国に限らずBRICsがこのモデルで急速に発展しているため、それらへの投資が拡大してバブル状態になるだろうと氏は予測する。それを「グローバル・バブル」と呼ぶのだそうだが、当然バブルは崩壊する。しかし、世界経済が深刻なダメージを受けることはなく、後を追うVISTAによって次のバブルが形成される。本書にはVISTAの文字はないが、そうした世界経済の拡大トレンドが今後100年続くと述べる。目先の物価変動などに捕らわれない広い視野と深い分析による的確な予測は、他に類を見ないのではないか。
あと、個人投資家にとってもおいしい情報満載で、学術的な経済解説書とは異なる実用価値の高さもウリといったところか。
ヨイショばかりでもなんなので、ひとこと反論ぽいことを言っておくと、今現在の原油/原料高による急激なインフレ(懸念)て、すげー深刻じゃね?世界経済がどうこうの前に、普通の日本人の来年の生活水準下がりそうだよね、とだけ指摘しておきたいです。(私も来年は減収見込みorz)
ところで、同様の職業で似たような経歴の持ち主に大前研一氏がいますが、やたら批判的、攻撃的でかつ自我がアメリカ人と化してる大前氏のキャラと比べると、山崎氏のそれはとても日本的なので、日本人に広く受け入れられる余地は多いと思われます。
更にところで、山崎氏の政策提言には社民主義的傾向が見て取れますが、リバータリアン池田信夫氏がどう評価しているのか知りたいところです。(私はリバータリアンに近いかも)