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経済物理学で経済政策を評価する方法ってあるのかな

science

水の温度が100℃を超えても沸騰しない現象を「過熱」といい、0℃を下回っても凍らない現象を「過冷却」という。
過熱/過冷却状態の水に砂粒を落とすなどして刺激を加えると、それが引き金になって一気に水の相転移が進む。つまり、砂粒の刺激によってぎりぎりの均衡が崩壊し、急速に沸騰や氷結が始まるわけだ。
経済現象にも、この過熱(過冷却)とその破れに類する現象が存在すると思う。経済物理学の教科書を紐解けば、そんな現象に関する記述はきっと見つかることだろう。
で、教科書を読むのは時間がかかるので、読まずに思いつきをつらつらと書いてみる。
戦後の日本には、そのような経済の相転移が大きく分けて二度起こっているのではないか。
最初は、高度成長の始まり。朝鮮戦争による特需が引き金となって復興経済が強力に駆動を始めたのは、元々それだけのポテンシャルを持った経済が一種の過熱状態にあったからだと言えそうだ。
次はバブル崩壊後の長期停滞。実力以上に膨張した経済が、バブルの崩壊を切っ掛けにして長期低迷へと相転移する。
こうした例えが単なる物理学的アナロジーなのか、それ以上の科学的説明に成り得るのかはよく分からないが、架空の理想状態を前提にする既存の経済学と、同等以上の説明能力を持つ可能性は当然あるだろう。
と言う訳で、過熱(過冷却)からの相転移という概念を用いてリフレ政策の効果について単純に検討してみる。いや、旬なので。
株価や為替の動きを観察して分かることは、それらが人工的な要因で大きく変動しても一時的な現象に留まり、長期的なトレンドの転換にまでは、まず至らないということだ。中央銀行が多量の通貨買いオペレーションを実施したり、米国なんかで大きな事件が発生したりして、急激に株価や為替が動いたとしても、数時間から数日もすれば元に戻ってしまう。こうした現象は、直接的に通貨供給量を増やすリフレ政策には、中長期的な作用はないことを示唆していると思われる。
しかし上記の過熱(過冷却)と相転移の概念を持ち込んだらどうなるか。
経済が過熱/過冷却状態のときに人工的に現金の散布を行えば、それが引き金になって経済の状態に相転移を生じせしめることが可能だということになる。これが意図的にできたら凄い。タイミングを見計らって給付金を出したり政府通貨を発行したりすることで、急速な景気回復から、巧くすれば成長のトレンドまで転換することが可能になるのだから。
しかしながら、この着想には殆ど実用的な意味はないだろう。と言うのは、今、経済が過熱/過冷却状態にあるのかなんて判断できないし、できたとしてもそんな状態ならほっといてもそのうち勝手に相転移するだろうし、また、散布は単に相転移の引き金になるに過ぎず、経済的実力自体を向上させる技術やメソッドにはなり得ないのだから。やっぱり重要なのは経済的な”ポテンシャル・エネルギー”を向上させる施策なのでしょう。
なんか、経済物理学を無性に勉強したくなってきた。